生活の質
2022.09.28
暮らしを考える

今ヘンプ(麻)が注目される理由|合法な理由や歴史、ヘンプ製品についてご紹介

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ヘンプ(hemp)」の日本語訳は「大麻」。大麻と聞くと、悪いイメージを持たれる方も多いと思います。

しかし意外なことに、大麻は古くから日本でも繊維や食材として利用されてきた歴史があり、日常生活でも使用される身近な植物のひとつです。

さらに近年では、SDGsに繋がるアクションが社会的にも活発になっている影響もあり、「ヘンプ」がサステナブルな植物として注目されはじめています。
そういった背景から、最近では大手企業からも様々なCBD製品が販売されています。

今回の記事では、ヘンプについての基本的な知識や歴史、どういった場合に違法になってしまうのかまで解説しています。
ヘンプやCBDに関して、興味を持っている方にとって、正しい知識を身につけられる助けになっていれば幸いです。

ヘンプとはなにか? 違法なの?

ヘンプとは、麻の茎の皮から採取できる固い繊維で、通気性・吸水性の良い優れた植物を指します。日本でも古来使用されており、縄文時代には衣服や縄に使用されていたのではないかと言われています。
そんな優秀なヘンプですが、戦後の大麻取締法によって日本での使用は制限されるようになりました。現在では、天皇即位の衣服や、しめ縄といった伝統的で代替品がないジャンルでのみ活用されています。

ちなみに戦後、大麻の使用を違法とするよう日本に通達したのはGHQ。それまでの日本では大麻を嗜好品として喫煙する習慣がなく、服や袋といった材料に使うことが主だっただめ、なぜ違法とするのか、日本側は意図がわからなかったようです。

「ヘンプ」と「麻」の違い

ひとくちに麻と言っても、「麻」「大麻」「ヘンプ」「マリファナ」など様々な名称がありますが、何がどう違うのか、気になったのことのある方もるのではないでしょうか?

これらはすべて、植物学的に基本的に同じものを指しているのですが、使用するシーンや製品によって呼称が変わるという特徴があります。

ヘンプは主に加工前の植物の状態をさすことが多く、麻は植物の総称でアパレル業界などでは繊維の総称として使われることが多いです。
麻の中には亜麻(リネン)や苧麻(ラミー)、黄麻(ジュート)をはじめ、原料となる20種ほどの植物があり、大麻もこのなかに含まれます。

ヘンプがサステナブルと言われる理由は? SDGsとの関係

アパレルとしての麻=ヘンプは、みなさんも親しみがあると思いますが、実はヘンプは今、大きな注目を集めているのをご存知でしょうか。

ヘンプは、種まきから収穫までおよそ90日と非常に早く成長してくれるうえに、どんな地域でも育つと言われています。

さらに少量の水さえあれば、農薬がなくても栽培可能。一般的なコットン1枚分を育てるのに必要な水分量は2,500~2,700リットルと言われていますが、ヘンプは雨だけで十分と言われるほど、水を使いません。

さらには、生育中の約90日間で、1ヘクタールにつき2.1万㎏の二酸化炭素を吸収できることから、環境に優しくサステナブルだと言われています。

加えて加工時にはヘンプは植物全体を有効活用できるため、ムダが出ないのも特徴のひとつです。

ヘンプを使った主な製品

  • オイル
  • ナッツ
  • パン
  • ビール
  • 飼料
  • プロテイン
  • バイオ燃料 など

  • 建材
  • 動物用ベッド など

葉と花穂

  • 医薬品
  • コンポスト
  • 動物用ベッド など

  • コンポスト
  • 医薬品 など

ヘンプ(麻)の歴史と魅力

今からおよそ1万年前の遺跡から麻縄が出土されていることから、日本では古来ヘンプと関わりがあったことが伺えます。

現代においても神社のしめ縄や、七味唐辛子の麻の実など、案外身近なところでもヘンプは使用されています。さらに、伊勢神宮のお札の正式名称は「神宮大麻」と言い、お祓いで使う道具も「大麻(おおぬさ)」と言うほど、日本の神社と大麻は深い繋がりがあります。

現在は国内外で禁止されている大麻ですが、だんだんと解禁運動が進んでいることをご存知でしょうか。

その理由は、大麻に含まれる成分である「THC」と「CBD」。こちらの成分が医療において効果があると認められつつあるため、解禁が進んでいると同時に、日本でもCBDを活用した製品は合法になっています。

THC(テトラヒドロカンナビノール)

向精神作用があるためCBDと比較すると安全とは言い切れませんが、ストレスや痛みの緩和に効果があるとされています。(日本では違法)

CBD(カンナビジオール)

精神へ与える影響や、中毒性がないことが証明されており、安全性の高い成分として知られています。さらに、ストレスや痛みの緩和をはじめ、がん治療にも効果があるとされています。

また大麻を医療用としてだけでなく、嗜好品として許可をしている州も出てきました。日本ではTHCを含まないCBDは合法となっており、「CBDオイル」や「CBDグミ」といった商品が、大手企業からも販売されています。

ヘンプの特徴・性能

サステナブルな植物として大注目のヘンプですが、これにはどのような特徴があるのでしょうか?詳しくご紹介していきます。

強度が高い

ヘンプの繊維は強度が強く、洗濯の回数を重ねるごとに丈夫になるという特徴があります。そのため、ヘンプでつくられた商品は長持ちするというメリットがあります。

調質性があり、冬も温かい

ヘンプの繊維には穴がたくさん空いていることから、湿度を調節してくれる効果があるため、洗濯後の乾きが非常に良いことが特徴です。
加えて、熱伝導率が低いことから、夏は1枚、冬は重ね着することで年中楽しむことができる繊維のひとつです。

抗菌・消臭効果

ヘンプの繊維は、抗菌性や消臭効果があるため、なかなか洗濯できないマットや、上着、カバンに打ってつけの素材でもあります。
その分、洗濯にかかる水も節約できるため、地球環境にも優しいと言えます。

UVカット効果

ヘンプの繊維には、99.9%ものUVカット効果があると「NGO団体Hemp Foundation」が発表しており、この数値からコットンよりもヘンプの方が50%以上のUVカット効果があるということがわかります。

ヘンプのデメリット

良いことづくめにも見えるヘンプですが、もちろんデメリットもあります。では一体どんなデメリットがあるのでしょうか?

先ほどメリットとして「強度」があるとご紹介しましたが、その分、伸縮性がないため用途によっては不便に感じる可能性があります。
またやはり「大麻=違法薬物」という悪いイメージをどうしてむ拭えない点が大きなデメリットになってしまいますよね。

ヘンプを使った製品

冒頭でもご紹介したとおり、ヘンプは植物全体を有効活用でき、様々な製品に活用できる便利な植物です。実際にどのような製品が作られているのでしょうか?

衣類

茎の部位が、布などに使用されることが多く、以下のような商品が販売されています。

麻のもんぺパンツ【ヘンプ100%】

ヘンプ100%のパンツで、軽くて薄いことから非常に動きやすいラフな履き心地です。

資材

茎の部位が、紙・建材・板・動物用ベッドなどに使用されることが多く、以下のような商品が販売されています。

ヘンプクリートブロック

ヘンプクリートブロックは高断熱製、耐久性、調湿性などに優れていることから非常に優秀な建材のひとつです。

食品

種の部位が食品や飼料、プロテインなどに使用されることが多く、以下のような商品が販売されています。

日本産麻の実入り 七味唐がらし 15g

日本で栽培、収穫されたヘンプシードが入った七味唐辛子で、奥深い風味を楽しめる商品です。

医薬品

葉と花穂、根の部位が医薬品などに使用されることが多いのですが、日本では食品に分類し、販売されています。

【HEMPS】ヘンプオイルカプセル150 リトリート

ヘンプシードオイルが含まれたこの商品は、毎日の健康維持のサポートをしてくれるサプリメントとして販売されています。

ヘンプ製品を選ぶ際の注意点

ヘンプで規制されているのは、あくまでHHCやTHCといった成分です。
これらの成分が入っていない部位が使われる製品はまったく問題なく、以下のような商品が販売されています。

プレミアムCBDオイル CBD500mg含有 ナチュラルフレーバー 内容量10ml

100%天然由来成分で作られていることから、身体に優しい商品として知られています。
さらにCBDに加えて、エイジングケアに効くゲラニオールや、美容や健康に良いとされるMCTオイル、より効果を実感できるカンナビノイドなどを配合しており、相乗効果を実感することのできる商品となっています。

厚生労働省では、2021年1月20日より8回にわたり 、「大麻等の薬物対策のあり方検討会」などを行い、CBD製品の法的な整備に関する検討を行っていますが、これにはまだまだ時間がかかることが予想されています。CBD製品を選ぶ際には、これからご紹介する点に留意した上で購入を検討しましょう。

以下の記事では、CBDついて詳しくご紹介していますので、是非ご覧ください。

まとめ:地球環境を助けるエコな植物「ヘンプ」

衣食住に余すことなく使うことができ、地球環境にも優しい植物であるヘンプ。
ヘンプは、植物全体を有効利用できるサステナブルな植物ということもあり、大きな市場になると言われています。
ヘンプに対して正しい知識を身につけることで、活用できるものは活用できるよう、当記事が理解を深める助けになっていれば幸いです。

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